新型WRXの登場でVABの価格は下がるのか? EJ20搭載車の価値と中古車市場の動向2026.10/23
2026年10月22日、SUBARUが新たなWRXのティザーサイトを公開しました。11月には、待望の6速マニュアルを搭載したWRXが発表される予定です。
スバルファンにとっては、非常に楽しみなニュースですね。
一方で、気になるのが中古車市場への影響です。
「新型WRXが登場したら、VAB型WRX STIの中古車価格は下がるのか?」
日々、中古車オークションに参加している立場からも注目していますが、個人的には、新型WRXの登場によってVABの価格が大幅に下落する可能性は低いのではないかと考えています。
その理由は、単純に新旧モデルという関係ではなく、そもそもクルマとしての価値が異なるからです。
そして何より、EJ20というエンジンそのものに大きな価値があると考えているからです。
歴代インプレッサWRX STIの相場が、その価値を物語っている
例えば、VABの先代にあたるGVB型インプレッサWRX STI。
現在の業者向けオークション市場では、走行距離5万km程度の車両でも300万円を下回らない価格帯で推移するケースが見られます。
さらに、軽量化や走行性能を重視したスペックCでは、400万円に迫る価格が付く個体もあります。
決して新しいクルマではありません。それでも、程度の良い車両には高い評価が付いているのです。
さらに古いGC8型やGDB型になると、その傾向はより顕著です。
走行距離が15万km近い車両でも250万円前後の価格が付くことがあり、状態の厳しい車両でさえ100万円を下回らないような、非常に強気の相場を目にします。
もちろん、グレードや修復歴、改造内容、整備状況によって価格には大きな差があります。
しかし、通常であれば年式の経過とともに価値が下がっていく中古車が、これほどの価格を維持しているのは興味深いことです。
特に程度の良い個体については、年式が古くなっているにもかかわらず、価格が上昇する傾向さえ見受けられます。
限定車のプレミア価格は本当に続いているのか?
一方、2026年に600台限定で発売されたWRX STI Sport♯(シャープ)。
6速マニュアルとFA24型エンジンを搭載した注目のモデルで、新車価格は610万5000円。発売当初はプレミア価格で取引されるケースもありました。
現在もグーネットやカーセンサーなどの中古車情報サイトでは、新車価格を大きく上回る販売価格が付けられている車両が見受けられます。
しかし、実際の業者向けオークション市場に目を向けると、少し違った状況が見えてきます。
当初のプレミア価格は徐々に落ち着き始めており、中には新車価格を下回る水準で取引される個体も見受けられます。
つまり、中古車情報サイトに掲載されている販売価格と、実際のオークション市場で形成されている価格には、開きが生じているということです。
もちろん、販売価格には仕入れ費用や商品化費用、販売店の利益などが含まれるため、オークション価格と単純に比較することはできません。
ただ、限定生産という希少性だけでは、必ずしも高いプレミア価格を維持できるわけではないことも、この動きから感じられます。
結局のところ、クルマの価値を決めるのは市場であり、そのクルマを求めるユーザーの評価です。
一方、EJ20を搭載した歴代WRX STIは、年式が古くなっても高い評価を受け続けています。
これは単なる希少性ではなく、エンジンの魅力や走行性能、長年培われてきた歴史に対して、ユーザーが価値を認めているからではないでしょうか。
販売価格は売り手が決められます。しかし、実際にいくらで取引されるかは市場が決めるものです。
市場は嘘をつきません。
一時的な過熱や価格変動はあっても、長い目で見れば、そのクルマが本当に求められているのかが相場に表れてくるのだと思います。
海外からの需要も、価格を支える大きな要因
もう一つ見逃せないのが、海外からの需要です。
歴代インプレッサWRX STIは、日本国内だけでなく、海外でも高い人気を誇ります。
特にGC8やGDBなどの古い世代では、海外での評価や引き合いの強さが中古車相場を支える要因の一つになっています。
現在は国内需要だけでなく、海外の市場動向、為替、輸入規制なども価格に影響する時代です。
今後も海外需要が必ず増え続けるとは限りませんが、世界中にEJ20搭載車を求めるファンが存在することは、その価値を考えるうえで無視できません。
では、VABの中古車価格は今後どうなるのか?
ここまでの歴代モデルの相場を見ていると、VABも同様の傾向をたどる可能性があると考えています。
何より、VABはEJ20を搭載した最後のWRX STIです。
この事実は、今後も大きな価値を持ち続けるのではないでしょうか。
新型WRXが登場すれば、一時的に需要が変化したり、1年単位で価格が上下したりすることは十分に考えられます。
しかし、GC8、GDB、GVBといった歴代モデルの相場を見る限り、VABだけが大幅に値崩れするとは考えにくいところです。
ただし、すべてのVABが同じように評価されるわけではありません。
特に今後は、走行距離や修復歴、整備履歴、改造内容などによって、車両ごとの価格差がさらに広がっていく可能性があります。
良質なノーマル車両や低走行車は、引き続き強い評価を受ける一方、状態によっては価格が大きく変わることもあるでしょう。
最後に。クルマの価値を決めるのは市場
中古車市場は非常に難しいものです。
新車の価格や供給状況、景気、為替、海外需要など、さまざまな要因によって相場は変動します。
将来の価格を正確に予測することはできません。
それでも、日々のオークション市場を見ていると、EJ20搭載車には一般的な中古車とは異なる価値が形成されていると感じます。
新型WRXの登場は非常に楽しみですし、新しいエンジンや技術によって、これまでとは違う走る楽しさが生まれることにも期待しています。
しかし、新しいクルマの登場が、必ずしも古いクルマの価値を下げるとは限りません。
EJ20にはEJ20にしかない魅力があり、その価値を認めるユーザーが国内外に存在しています。
そして、その評価は中古車相場にも表れています。
新しいから価値があるのではなく、欲しいと思う人がいるから価値がある。
この違いは、非常に大きいと思います。
一時的な価格変動はあっても、EJ20を搭載したVABが大幅に値崩れするとは考えにくい。
それが、現在の中古車市場を見て感じていることです。
結局のところ、クルマの価値を決めるのはメーカーでも販売店でもなく、市場であり、ユーザーなのです。
※記載した中古車価格は、業者向けオークション市場で確認された個別の取引事例や相場傾向をもとにしたものです。グレード、車両状態、取引時期によって価格は異なり、将来の相場を保証するものではありません。


